信頼がラグジュアリー!?

「誰がアパレルを殺したのか」

という本をよみました。

 

 

業界人ではない私からすると、アパレル業界=花形産業と考えていました。
しかし今、本のタイトルにもあるとおり、アパレル業界は過渡期にあります。
これは他人事ではなく、私たち食の業界もしかり。

 

アパレルを食に置き換えて、自分事として読みました。
いやあ様々な業界各社の経営が難しくなってきますが、それだけにやりがいがある。

 

そして、大事なことは今も昔も先の未来も
人に喜んでもらえる商品サービスが勝ち残っていくということ。


わたしたちもわたしたちの持ち場で精進していきます。

 

以下、いつものように読書メモです。

これから読もうと思われる方の参考になれば幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。

天野龍

買いたい服がない

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買いたい服がない結果、消費者はこう思うようになった。百貨店やscに並ぶのは似たようなデザインの服ばかり。しかも長いデフレを経験した後おしゃれかわいいといったブランドイメージだけでは財布の紐は緩まない。洋服を買いたいと思わなくなったのは商品を供給するアパレル業界の自業自得と言っていい。これからアパレル業界が不振に陥った原因を詳細に見ていく。

問題を直視することが新たな一方踏み出すために不可欠だと考えるからだ。

 

追いかける>作る

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作るはずが売れ筋を追うように

1年間を52週間における店頭での売れ行きをもとに、季節ごとに商品企画や販売計画を立てるやり方が52週マーチャンダイジングMDだ

今売れている商品をすぐに作って売り場に届けるという目的に固執するあまり本来は売れ筋を作るはずのアパレル企業が売れ筋を追いかけると言う本末転倒な構図に落ちた

世界中を探しても類似品がな

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第一織物

中国と韓国で競う事は無謀だと感じ模倣品が作りにくい感性を武器にした商品を作ろうと戦略を切り替えた

世界中を探しても類似品がない第一織物の生地の価値を認めたのは海外の高級ブランドだった

 

既存ビジネスモデルの破壊

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ユニクロ会長兼社長の柳井正はアパレル産業の将来についてこう語っている。

ITの進化によって誰でも様々なビジネスを始められるようになった。そうなるとチャンスを活かす人とそうでない人の差が広がる。Googleやアマゾンドットコムはアパレル業界の進出を加速するだろう。既存の産業分類は意味がなくなり、これから業界内で再編するのではなく産業を飛び越えた規模で再編が起きる。

中間層が服を買わなくなった。大手アパレル企業や百貨店の関係者に不振の理由を問うと判で押したように同じ答えが返ってくる。長引くデフレは消費者の財布の紐を硬くし、所得格差も広がり続けている。

ただ問題の本質は外部環境にはない。既存のビジネスモデルを守りながらその上につぎはぎして延命を図る形は限界にきている。ゼロから新しいビジネスを作るつもりで既存のビジネスモデルを破壊する。経営者に問われているのはその覚悟だ

ZARA流に再構築

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例えば、キッコーマンやトヨタ自動車がどうやって世界を席巻する企業に成長したのか。各種アパレル業界はこうした他産業の成功事例を参考にしません。ファストファッションに対しては安易にデザインを模倣するという批判もありますがコストに対して非常に敏感な彼らのアプローチには正直驚かされました。

スペインのファストファッションブランドのザラはトヨタの生産システムなどを徹底的に勉強しそれをザラ流に再構築するという取り組みを1,990年代からやっています

どうやって付加価値を高めるか?

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単純労働から知識労働に変わらない限り企画製造小売業は付加価値を高められない。

店のサービスも同じで、何年もの経験がいりますから蓄積していかないといけない。だったらそれはパート社員とかアルバイトよりも正社員の方がいいですね。

 

ミレニアム世代の費用削減

 

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SNSを中心としたマーケティングはミレニアム世代の顧客との結びつきを高めるためだけでなく、マスメディアを活用した宣伝にかかっていた多額の費用を削減するのにもひと役買っている。

既存アパレル企業へアンチテーゼ

 

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徹底した透明性はエバーレーンに大きな価値をもたらしている。顧客なら誰もが知りたいと思うことをシンプルに示してファンを増やしているのだ。

価値に嘘はないか。品質に嘘はないか。デザインは喜ばれるものか。商品の見せ方や購入方法はスマートか。企業の問題意識そのものが大量生産大量供給というビジネスモデルで商売してきた既存のアパレル企業に対するアンチテーゼとなっている。

信頼がラグジュアリー

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ミレニアル世代にとってのラグジュアリーはどこで作られたかどのように作られたかに価値がある。ブランドの名前よりも質、職人技、信頼性がはるかに大切になっている。

時代のニーズを敏感に感じ取り顧客を増やしているのかエバーレーンなのだ。

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従来型のセールはしない。第一セールを実施するという事はもとの価格設定が誤っていることの証左だ

Relevance

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安さではなく価格の妥当性が重要。

不要なコストを省きその分商品開発やデザイン、顧客サポートに費やす。それがフェアであり、あるべき姿のだと消費者に示す。その姿勢が彼らのブランド価値になっている。つまり彼らが示すのは安さではなく価格の妥当性の大切さだ。顧客は騙せない。適正な価格と価値を示さなければ離れていく。

消費者はアパレル消費の中に、企業側の都合によって積み上がったコストが多分に含まれていることを知った。

消費者はもう安いだけで財布の紐を緩めない。見ているのはその中身だ。

ピボット

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環境の変化や状況に応じた素早い業態の転換はピボットといいスタートアップ企業の成功の秘訣となっている。送料やバーコードスキャン等ゾゾタウンは数々のピボット繰り返して成長を遂げてきた。

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ZOZOTOWNの強みは何か。利用者の視点で見ればブランドを横断して統一した基準のサイズで商品を比較できるため、郊外の広いショッピングセンターで、いくつものブランドを回るよりも買い物がしやすい。

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出店するアパレル企業だけが閲覧できる管理サイトの存在だ。管理サイトではアパレル企業が自社の在庫確認するだけでなく他社の商品のトレンドなども分析できる。例えば現在人気ブランドで何が売れているのか。アイテム別に過去の売り上げを参照でき、昨年の3月に女性に売れたブラウスといった検索は他社も含めた商品全体でできるのだアパレル企業がゾゾタウンに出店する背景には売れ筋などを分析できる管理サイトの存在が大きい。

ネットで代替できない経験

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仕事から帰って食事を済ませた後にメルカリで洋服を見る。仕事上がりに百貨店や駅ビルによることができない。週末は友人とライブに行ったり1人で美術館に行ったりしたい。

ライブや美術鑑賞はネットでは代替できないと考える反面、洋服の購入はネットで十分としている。

毎年新しい服を着たいと思わない。2年以上前に買った服を着ることに何の抵抗も無い。むしろ良いものや気に入ったものであれば長くきたいと思います。メルカリの出品商品におけるアパレルの割合は約4割に上る 。

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何も経験がないのがよかった。ストゥディオスを立ち上げた当初、雑誌に乗れば商品が売れると考えて出版社の代表番号に直接電話をかけたりしていた。業界の常識を知っていたら、とてもそんなことができなかった。

お客さん目線で直球で飛び込んだ結果が今になったし社内でもそれを言い続けている

計数管理

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自社商品の利益率の高さをわかるとしてセレクトショップであるストゥディオスがなぜ高い利益率を維持できるのか。

多くのセレクトショップが欧米ブランドを中心に品揃えを構成するのに対してストゥディオスが取り扱うのは国内ブランドだけだ。日本のブランドのみにこだわった商品を選ぶことで他社との差別化を図っている。

その他ポイントは商品仕入れの手法にある。セレクトショップにとって商品在庫とそれを処分するためのセールは利益率の低下に直結する。そこで定価販売の比率が仕入れた商品全体の6割を切ったブランドは次のシーズンから取引をやめる。定価販売比率が6から8割なら現状維持、8割を超える場合は逆に仕入れるを増やす

そのため取り扱いブランドは年間で1割程度が入れ替わる。そうすることで在庫処分のためのセールが常態化しないよう工夫し、常に利益率の高いブランドだけを集められる。この商品すごくいいんだけど売れないんだよねと言う話をよく聞くけれどそれは良い商品じゃない。ちゃんとお金を出して買ってもらえるのが良い商品。

徹底した計数管理を導入していることも同社の好調を支える大きなポイントだ。アパレル企業にとって頭痛の種である固定費の家賃は路面店ならば売上高に対して5%以下を理想とし全体平均で10%以下、商業施設等のビル内でも15%以下に抑えるよう徹底している。ZOZOTOWNとの連携が奏功しネット通販比率が売上高の3割強と業界内で際立って高いことも利益率の高さに貢献している。

200

アパレル業界はお客さんが来てくれるのでどうしても待ちの姿勢になる

だからこそ社内では販売じゃなくて営業しろといつも言っている

我々の取り扱うアパレルは嗜好品で顧客ニーズは無い

そこでどう切り拓いていくかを考えるのが営業だしそれが店頭で接客する販売の仕事だ

210

アナログな世界に泥臭く飛び込む

目標として設定した販売本数は4,000本

これだけまとまった量を協力工場に発注すれば上客として工場側が割引に応じてくれる

誕生したばかりのブランドとして異例の発注数だった

どうやって売り切るかと最初は悩んだけれどこれを達成できないようでは世界で戦うなんてとても無理だと思い切った

3カ月間以上ずっと出張して欧米通算で50都市以上を回った

そうやって自分の足で回って自分の言葉で説明してるとゆっくりと今につながる有力取引先を開拓できるようになった  

日本にいると欧米はデジタル先進国と言うイメージがあるけれど実際は人のつながりなど非常にアナログな部分を重視する世界

その情報はインターネットでいくら調べても出てこない

泥臭くそこに飛び込んでいかないとそういうつながりを見つけることすらできない  

212

ものづくりの巧みな技をアピールする日本のアパレル企業

しかし

それを世界に入り込みたいと思うなら技術を知り尽くし自分の言葉で情熱を伝えなくてはならない

ジャパンブルーの成功はそれを教えてくれる

商社や代理店に任せるのではなく自分の手足を使って泥臭い営業が世界市場を切り開く最短で最善の手段だ

その覚悟がないのであれば海外進出は諦めた方が良い

また多くのアパレル企業にとって重要なヒントとなるのがジャパンブルーの開かれた経営姿勢だ

たとえ海外市場で注目を集めたとしても成功の果実を独り占めするようであればより大きな市場の開拓が期待できない

ジャパンブルーは自力で開拓した海外の販路を惜しげもなく公開しライバルが続くことを期待している

国内のジーンズ産地が力を合わせて日本のデニムそのものを世界に売ることが目的だからだ

日本のアパレル業界が苦戦する一因には業界内のライバルの動向ばかり気にして大局で物事を捉えようとしない姿勢がある

閉鎖的な内向き志向から脱することができるか

ジャパンブルーは日本のアパレル業界に殻を破れと訴えるようにも見える

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ノウハウを持っていない領域や業態に進出する場合は撤退基準となる投資額を低めに見積もる

アパレル関連事業経験13年で離陸できないものは市場とずれている。情緒的ブランド管理せずに数字で決める。

投資額と徹底ラインを明確に決めておけば出だしの数店舗までは、戦略的に赤字を出しても攻めることができる。

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彼らに共通するのは消費の潮流を見極めながらリスクを取って現状を変えようとする強い意志と希望だ