子どもを育てる脳科学とは

新しい時代の幕開けですね。
お祝いムードの10連休、いかがお過ごしでしたでしょうか?

 

私はずーっと読みたかった
APU立命館アジア太平洋大学の出口学長推薦の
「パパは脳研究者~子供を育てる脳科学(池谷裕二著)」を読了。

学び深い一冊でした。

 

子育て中のパパママと、これから子育てを控えたパパママと
ぜひ共有したく今回のコラムにまとめます。

引用おおい投稿になれば恐縮です。

サポートする教育

人は皆凸凹です。個性をおおらかに見守る姿勢を大切にすると同時に、
当人にふさわしい適切な対応と環境で、まっすぐに成長できるようにサポートする教育を心がけたいものです。

 

「隣の子とくらべて…」と優劣を感じる必要はありませんね。個性を活かしていきましょう。

記憶力の曖昧さは想像力の源泉

記憶力の良い人ほど、想像力がない傾向があります。
なぜなら、記憶力に優れた人は、隅々までをよく思い出せるため、覚えていない部分を想像で埋める必要がないから。

 

「うちの子は記憶力がなくて・・・」これも嘆く必要はありません。記憶力の曖昧さは想像力の源泉!

必ずしもいらない

学習に「答え合わせ」は必ずしもいらないということです。
一般に、すぐにフィードバックを与えると、他人に修正してもらうことに慣れ、
「正解を見る」ことに頼るクセがついてしまいます。
すぐに成果を期待するのは学習姿勢としては好ましくありません。

 

問題も回答も自分のアタマで考えていく時代なのかもしれません。そのよりよい環境を与えるのが親の役割かもしれませんね。

 

才能は「反射力」

 

反射力を育てるには幼少期の体験が大事。
私は考える「才能のある人」とは、反射力を上手に使える人のことです。
「反射力」とはその場に応じて、瞬発力と即興性を持った合理的な判断ができること。
何かに躓いたら、適切なアイデアを出して打開するとか、
もめたときにどう発言すれば穏やかに解決できるかなど、素早く思いつく反射です。

つまり、反射力とは、ある状況において無意識に脳が作動して、
自動的な計算によって正しい答えを出すことができる能力です。
素早く適切な反射ができるになるには、それまでの積み重ねが大切。
いい経験をしてきた人は、いい反射ができます。

 

プロ棋士が次の一手を思いついたり、ベテランの骨董屋が茶碗の価値を見抜いたり、
そうした「直感」も、長年の経験から生じる自動的な反射です。
経験が優れていれば、自然と優れた反射ができる人間になります。

 

だから、子育てにおいて大切な事は、子供たちに良い経験をすることだと言い切って良いと思います。

 

大人になった後、意識の上では経験を覚えていませんが、それは表面上のことで、幼児の体験は、体感として無意識の神経回路に残り、直感力反射力を育むことにつながっています。

 

 

私たちはよりよい食育体験を提供できるようチャレンジします。
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親の教育意欲が過剰だった場合、教育意欲が全くない親に育てられた場合よりも、子供の達成動機がむしろ低くなることが知られています

 

思い当たる節があります。ひやひやさせられる一節です。

 

子育ての最終目的

子育ての最終目的は「他人の指示を毎回仰がなくても適切に行動出来る」ように導くことです。
この考え方は本書全体に通じる屋台骨ですので何度でも言います。

親がいなくても1人で立派にやっていけるように導くことこそが教育の真髄です。

親としては子供の独り立ちは、ある意味で寂しいですし、必要とされなくなる事は、辛い事でもあります。
しかし、子供は親より長く生きるのが道理。生物としての運命です。

と、なれば、しつけを通じて本人の「内面化」を促してやることが教育の支柱となるはずです。

 

親がいなくても生きていける子どもに。そうですね。年齢に応じた自立を促せるよう頑張りたい。

 

早期教育のよしあし

成長をたくましく思いもしますが、ちょっと複雑な気持ちもあります。
確かに、そうした早期教育学習を通じて、親子の交流が深まる事はあるでしょう。
親が喜べば、子供も嬉しくなり、さらに勉学に励むようになる相互交流は、決して悪いことではありません。
これも1つの親子の形です。

 

一方で、この年齢でも習わなくてはいけないこと?とも思うのです。
小学生になればいずれ習うこと。もちろん、できていけないことではありませんが、
私は、幼児期には、知識の先取りよりも、自制心や好奇心や理解力を大切に育てたいと考えています。

つまり、将来、知識をスムーズに吸収し、それを適切に活用するための土台を築くことです。

 

早期教育へのアンチテーゼですね。焦る気持ちを抑えて、じっくり子どもと向き合っていきます。

 

 

著者の池谷裕二さん、紹介くださった出口学長、
ありがとうございました!!

 

その他、心にとどめておきたい文脈を下記に残しておきます。

 

パパは脳研究者 子供を育てる脳科学 池谷裕二

 

19ページ
娘は今も少しモロー反射が残っています。
これは、脳の回路が成熟する過程で一時的に生じる、意思の反射です。
脳のパーツとパーツが互いにつながり、その回路が連動するときに体も勝手に動いてしまうのです。
新生児から3ヶ月ごろまで見られますが、その後はだんだんなくなって徐々に細やかな動作ができるようになります。

 

66ページ

ヒトは落ちても親が救い出してくれます。
親の能力が高いから、赤ちゃんは堂々と未熟でいられるのです。
逆に言えば、子育てにこれほど手間がかかるのは、人の能力が高いことの裏返しでもあるわけです。

 

68ページ
人は、走る速度では、チーターやシマウマには勝てません。
でも、人の優れたところは、持久力に秀で、疲れにくいことです。二本足で遠くまで歩けるのです。

野生動物は通常、生まれた場所からあまり遠くに移動しません。
アフリカの広大な大自然サバンナに生息するきりんやゾウでさえ、一生をごく限られた範囲内で過ごします。

 

ところが現生人類は、25万年前にアフリカで誕生して以降、約10万年前にアフリカ大陸を出て、ヨーロッパやアジアへと渡ります。
その後、徒歩だけであっという間に、地球全体に行き渡ったわけです。

 

娘の「はじめの一歩」に、人類の長い歴史のロマンを感じるのです。

 

78ページ
人は皆凸凹です。
個性をおおらかに見守る姿勢を大切にすると同時に、当人にふさわしい適切な対応と環境で、
まっすぐに成長できるようにサポートする教育を心がけたいものです。

101ページ
記憶力と想像力の反比例

 

一般に、記憶力の良い人ほど、想像力がない傾向があります。
なぜなら、記憶力に優れた人は、隅々までをよく思い出せるため、覚えていない部分を想像で埋める必要がないから。
普段からよくわからない部分を空想で補填すると言う訓練をしていないと想像力が育たないらしいのです

 

記憶力の曖昧さは想像力の源泉です。

 

132ページ
いよいよ2歳になろうとしています。
2年間振り返ると、子供が生まれる前と後では、時間の流れるスピードが全く違います。
よく、子供の頃は時間がゆっくりと流れ、歳をとるほど早く流れるようになるといいますが、
娘と生活することで、私自身がまた子供の時間感覚に戻ったようです。

1日1日が輝くように充実していて、何より子育ての楽しさを実感しています。

 

171ページ
つまり、学習に「答え合わせ」は必ずしもいらないということです。
一般に、すぐにフィードバックを与えると、他人に修正してもらうことに慣れ、
「正解を見る」ことに頼るクセがついてしまいます。

すぐに成果を期待するのは学習姿勢としては好ましくありません。

 

172ページ
絵本も同じです。親が読み聞かせる「入力」よりも試行錯誤しながら自分でも「出力」を重視しています。今日あったことを聞いてやったりと、できるだけ娘の脳から情報を「出力」する機会を増やすように工夫しています。

194ページ
才能は「反射力」。反射力を育てるには幼少期の体験が大事

私は考える「才能のある人」とは、反射力を上手に使える人のことです。
「反射力」とはその場に応じて、瞬発力と即興性を持った合理的な判断ができること。
何かに躓いたら、適切なアイデアを出して打開するとか、
もめたときにどう発言すれば穏やかに解決できるかなど、素早く思いつく反射です。

 

つまり、反射力とは、ある状況において無意識に脳が作動して、自動的な計算によって正しい答えを出すことができる能力です。
素早く適切な反射ができるになるには、それまでの積み重ねが大切。
いい経験をしてきた人は、いい反射ができます。

 

プロ棋士が次の一手を思いついたり、ベテランの骨董屋が茶碗の価値を見抜いたり、
そうした「直感」も、長年の経験から生じる自動的な反射です。経験が優れていれば、自然と優れた反射ができる人間になります。

 

だから、子育てにおいて大切な事は、子供たちに良い経験をすることだと言い切って良いと思います。

 

大人になった後、意識の上では経験を覚えていませんが、それは表面上のことで、
幼児の体験は、体感として無意識の神経回路に残り、直感力反射力を育むことにつながっています。

 

201ページ
脳が何を知識として覚えることができるかは、それを受け入れる準備があるのかどうかにかかっている。
成長は人それぞれなのだと改めて実感しました。専門的には、これを「準備された心」といいます。

本人が興味を持たない限り、いくら働きかけたところで、学習が進みません。
吸収できる土がないと水をやっても育たないのです。

 

213ページ
3歳と言うのは、脳研究の観点から見て、1つの節目になります。
39ページにデータを示した通り、人の神経細胞はもともと持っていた数を100%とすると、3歳までの間に70%が減り、約30%が残ります。
不要な神経細胞はエネルギーを無駄に消費するので、捨ててしまうのでしょう。その後は、その30%だけで生涯を貫きます。

つまり、どの神経細胞を残すかが決まるのが3歳まで。
3歳までの間に、あれこれと刺激を受けてこれは大切だからこそこれはいらないから捨てようと判断するのかもしれません。
三つ子の魂100まで。この誤解されやすい言葉を、データの拡大解釈を交えながら、あえて換言すれば、
3歳までに親がどんな子供にそう育てたいのかをしっかりと考えで、働きかけることの意味が大きいともいえます

 

224ページ
親の教育意欲が過剰だった場合、教育意欲が全くない親に育てられた場合よりも、子供の達成動機がむしろ低くなることが知られています
(参考文献:McCelland DC. Achieving society. New York, D.Van nostrand,1961.)

 

234ページ
頑張っている姿を見ると、つい親は褒めたくなるもの。
教育論的には、この場合、ストレートに褒めるの禁じ手です。

 

テストで良い点数を取ったときには「がんばったね」や「ご褒美あげる」ではなく、
「良い点数を取ると気持ちいいね」あるいは「お父さんの気持ちがいいなあ」や「次も良い点数が取れるといいね」と言うべきです

 

244ページ
終わった後に片付ける事は、しつけをしないと絶対にできるようになりません。

とはいえ、勘違いしないでください。
しつけとは「片付けなさーい!」「片付けないと思遊ばせない」などと怒鳴ることではありません。
しつけは、専門用語で「強化」と「弱化」とよばれる方法に分類されます。

 

「強化」は褒めることでそのことを再び取るように意欲を強めることです。
「弱化」はしかることでその行動を二度と取らないように意欲を弱めることです。

育児本にはいろいろな「しつけ法」が書かれているように見えますが、いずれも究極的にはこの2つのどちらかに分類されます。
強化にせよ、弱化にせよ、しつけが行われると、子どもは親の行動や判断をモデルにして、自分に取り入れていきます。
このプロセスを「内面化」と呼びます。社会規範や価値観を十分に定着させることです。
内面化が成功すると、もう強化や弱化という外的な要因がなくても、自分の規範に基づいて行動をとるようになります。

子育ての最終目的は「他人の指示を毎回仰がなくても適切に行動出来る」ように導くことです。
この考え方は本書全体に通じる屋台骨ですので何度でも言います。
親がいなくても1人で立派にやっていけるように導くことこそが教育の真髄です。

親としては子供の独り立ちは、ある意味で寂しいですし、必要とされなくなる事は、辛い事でもあります。
しかし、子供は親より長く生きるのが道理。生物としての運命です。
と、なれば、しつけを通じて本人の「内面化」を促してやることが教育の支柱となるはずです。

 

247ページ
褒めるだけの指導法が最も効果的なのです。叱ってはいけません。
叱ると、タスクをこなそうとするやる気自体が減じてしまい、結果的に達成率が下がってしまいます。

 

もちろん私もしかるべきときには叱ります。ただし叱り方上手であることが肝心。
例えば、叱るときには必ず逃げ道を作ってあります。激昂して徹底的に追い詰めるのは論外です。絶対に避けて下さい。

また夫婦2人が同時に叱ることも注意深く避けて下さい。両親から叱責されると子供は板挟みになります。
精神的に未成熟の幼児はこの緊張状態に対処する術をまだ持ち合わせていません。
どんな場合でも、両親の一方は子供に寄り添い、心の停留所となるべきです。

 

250ページ
「ほめたいからほめる、叱りたいから叱る。」これは単なる親のエゴです。
ヒトは高度な認知を備えているからこそ、安易に褒める事は有効ではありません。

とはいえ、こうした理論教育論ばかりを掲げたところで読者の多くは
「そんな繊細な育児方法は私には無理」と思われるかもしれません。実際私も理想から程遠いのが現状です。
そんな時はせめて「笑顔」で子供に接するように心がけるのです。

例えば、片付けなくて困った時は、イライラして「なぜ片付けない」のとか
「片付けないならもう遊ばせない」などと怒鳴っては逆効果です。

ぐっと気持ちを抑えて、笑顔で楽しそうに、まず自分から片付けを始めてみましょう。
それだけで、きっと子供は寄ってきます。「楽しそうに何してるんだろう」と。
そうしたら、しめたものです。「どう?一緒にやる?」そう声をかけるだけで良いのです。

 

遊びでも家事でも親が楽しそうにやってるものに、子供は自然と興味を持ち、マネをしたがるものです。
こうした方法でいつでも叱らずに自然と片付けられるようになる、つまり内面化が成立することが証明されています。
我が家でも同じ方法を試してみましたが、確かに遊び終わったら自分から自発的に片付けるようになっています。

自発的に行動してもらうためには、否定語を避け、できるだけ肯定的な言い方をすることが大事です。
例えば「おもちゃを片付けないともう遊ばせない」とたしなめると、この表現には「ない」という否定語が2回も入ってしまいます。
こうした表現は感心しません。この場合は「おもちゃを片付けてまた今度遊ぼう」と肯定文で言い換えるべきです。

「歯を磨かないで寝ちゃっダメだよ」じゃなくて「歯を磨いてから寝よう」
お絵かきが好きな娘が「あと1ページ描きたい」と言ってきたら、「もう1ページ描いたら片付けよね」という言い方をします。
辛抱強く続けることで、こうしたマイルドな表現でもわかってくれるようになります

 

言葉や表現に気をつかっている意図は、「我慢することはイヤなことではない」という雰囲気をじっくりと作りたいからです。
自分を否定されるのは嫌なものです。できるだけ肯定的な言葉を使うことで、
当人の自制心を通じて「積極的に我慢する」ように導くことが大切です。

 

子供は親の発言に対し敏感です。感情に任せたしつけは教育ではありません。
親のほうも「今の声かけて良かったか」と一つ一つ吟味すること。
子供に反省させるときは、大人もまた反省しなくてはなりません。

例えば私は、もし約束が守れなくても、頭ごなしに叱る事はしません。
「歯を磨かないでで寝ようとするのはどうしてなの?」
「どうしてもっとお絵描きしたいの?」
と丁寧に理由を聞くようにしています。

約束が違うと、つい否定文で叱責したくなりますが、どんな場面でも、否定より肯定が魅力的です。

 

ネガティブな行動で自己自分を卑下するよりも、ポジティブなことで自分を鼓舞するほうがいい。
我が子にも、将来は、自己肯定的な人に成長してほしいものです。

 

266ページ
成長をたくましく思いもしますが、ちょっと複雑な気持ちもあります。
確かに、そうした早期教育学習を通じて、親子の交流が深まる事はあるでしょう。
親が喜べば、子供も嬉しくなり、さらに勉学に励むようになる相互交流は、決して悪いことではありません。
これも1つの親子の形です。

 

一方で、この年齢でも習わなくてはいけないこと?とも思うのです。小学生になればいずれ習うこと。
もちろん、できていけないことではありませんが、私は、幼児期には、知識の先取りよりも、
自制心や好奇心や理解力を大切に育てたいと考えています。

つまり、将来、知識をスムーズに吸収し、それを適切に活用するための土台を築くことです。

 

291ページ
絵本は潜在的親近性の結晶です。もし皆さんが絵本という存在に対して、そこはかとなく心温まるものを感じるとしたら、
それは幼かった頃に、親が絵本を通じて溢れる愛情を注いでくれたことの、ひそやかな証です。

 

「絵本はその人の来歴を映し出す鏡」だといわれるのは、まさにその点にあります。
親に絵本を読み聞かせてもらっている子供は、脳の前頭葉が強く活動していることが知られています。
親子のコミニケーションが多ければ多いほど、脳は強く活性化します。

ここでいうコミニケーションとは、言葉のやりとりに限りません。
指で指す、見つめ合うなどの非言語的なやりとりも含まれます。
また、絵本を読み聞かせれば聞かせるほど、親のほうも子供に対する愛情を深めるという調査結果もあります。
つまり、絵本は親子が心の波長を共鳴させる舞台なのです。

 

参考文献:Ohgi S, Loo KK, Mizuike C. Frontal brain activation in young children during picture book reading with their mothers. Acta Paediatr, 99:225-229, 2010.